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葛飾北斎描くところの「足利行道山くものかけはし」 [堂々巡り]

今回は、葛飾北斎の「諸国名橋奇覧」に出てくる、足利市の行道山淨因寺を訪ねました。
「諸国名橋奇覧」は、全国の珍しい橋を画題とした全11図の名所絵揃物。大判錦絵で、天保4~5年(1833年~1834年)。版元・西村屋与八。ボストン美術館蔵。
作品を見ると画面右半分に雲海の上にそびえ立つ岩山。下に山門が見え中腹岩肌の中に、に寺の本堂等と思しき堂宇。画面中央に雲海から突き出した一塊の岩山、その断崖上に茶室「清心亭」。清心亭と本堂との断崖の間を繋ぐ「天高橋」。この光景を頭に浮かべ現地に向かいました。
国道293号から脇道に入り、北関東自動車道足利インターチェンジの南側を西に進み、山裾を南北に走る県道284号線を北に行く。途中のY字路で県道と別れ左手の細い道を北に走ると、行道山淨因寺まで約2kmと道路標識に出ている。スピードを落として登り坂となった細い道を先に進む。途中道の脇に上に観音像の附いた石柱が建てられています。正面に「観世音菩薩尊像 三萬三千體安置 行道山」の文字が刻されています。
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暫らく行くと道路脇に比較的新しい公衆トイレが有り、前に数台の駐車スペースが有ります。私はここに車を停めて、寺に向かうことにしました。その先は寺の境内を示す、一本の石柱が建てられています。「名勝行道山淨因寺境内」と刻されています。
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又、駐車スペースの脇に小さい堂宇が細い橋の架けられた先の大きな岩の上に建っています。脇に建つ案内板に「行道山 澤菅 弁財天 淨因寺」と記されていました。
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晩秋の日没は早く、まして山間の事、直ぐ太陽が山の陰に隠れてはと、先を急ぐことに。途中の舗装された道路が濡れていて滑りやすくなっています。道路の先に沢水が落ちていて、道路を濡らしている事が分かりました。道路脇の岩から滝の様に水が落ちています。
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背の高い杉木立の中の道は、結構勾配がきつく、歩いていても胸が苦しくなる感じで、休み休み登ります。500m程登った所に広く整備された駐車場が現れました。ここまで車で来られたのでした。
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ここからは石段を登るようです。石段の左側に山の上に向かって鉄製のレールの様なものが伸びています。「行道山くものかけはし」モノレールとなっています。残念ながら動いていません。
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石段をせっせと登る事にします。石段脇の山肌には大小多くの石仏や庚申塔が建っています。
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石段の先に「行道山」の扁額を掲げた山門が見えて来ました。
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ここまで来ると石段も山門の屋根も沢山の落葉で埋もれています。
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又一つ山門を過ぎると本堂の前に出て来ました。本堂の裏山の上の木立はまだ太陽の光が当たっていますが、境内はすでに山の陰に入ってしまった様です。
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境内左手奥に、葛飾北斎の描いた「くものかけはし」の光景を覗わせる風景が有りました。
岩山の上にせり出すように建つ「清心亭」と思しき建物。岩山に渡す橋が架けられている。現在は鋼製に成っているが、かっては北斎の錦絵の如き木橋が渡されていたのでしょうか。
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橋が架けられた岩山の周辺は落石の危険が有る為か、柵やフェンスで囲われて、少し興ざめですが、参拝者等の安全の為、講じられたもので、残念ですがこれも仕方がないものと考えます。
本堂の右手庫裏の裏手に、熊野社の堂宇が有り、そこから先に奥之院への山道が続いていますが、岩山を登って行くような、足元が危うい感じになったので、先に行く事は断念した。
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昭和60年9月に㈶足利市民文化財団と足利市教育委員会によって建てられた「行道山淨因寺」の説明板によると、≪行道山は今から約1,200年前、和銅年間に行基上人により開かれたと伝えられる。その後、法徳禅師が禅寺とし、室町時代には学問の道場として修行僧が多く集い”関東の高野山”と呼ばれた。元和9年(1623)には雷火のため堂塔が焼失したが、幕府から寺領20石の朱印をうけ、往時の寺勢をもりかえした。当時のおもかげは、木版刷の文献などによってうかがい知ることができる。
山頂に近い「奥の院」には寝釈迦(石仏)を中心に多くの石仏(49院)や石塔が周囲をとりまいている。ここは行基上人が分骨入定された聖地である。≫と記され境内堂宇の配置図が描かれています。
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寝釈迦を見る事が出来ませんでしたが、北斎描くところの「くものかけはし」の錦絵の世界に暫し思いを巡らすことが出来ました。
現在、この地は「関東ふれあいの道」の「山なみのみち」(行道山から名草巨石群)と、「歴史のまちを望むみち」(行道山から織姫人神社)の中継点にも成っていて、多くのハイカーも訪れています。
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今回、紅葉の時期に合わせて訪れましたが、最近の降雨の影響なのか、すでに落葉に成っていたようです。又、この地は出来れば午前中に訪れるのが良かったのかも知れないと思いました。落葉に足を取られないように気を付けて、車を停めた場所まで戻りました。



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