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三池炭鉱の産業遺産を巡る [建物]

この正月休みを利用して九州北部を旅した。目的地は二ヶ所、長崎市と大牟田市です。
長崎市では眼鏡橋を、そして大牟田市では明治日本の産業革命遺産として平成27年(2015)7月に世界文化遺産の構成資産として登録された三池炭鉱関連資産を見て廻りました。

大牟田市の三池炭鉱を訪れたのは世界遺産に登録された事とは別に、その地が栃木市と少なからず繋がりが有ったからです。私が栃木工業高校を卒業する数年前の昭和39年(1964)に、栃木市に三井三池製作所栃木工場が誘致され、私の同級生の中からも多くが就職していました。
大宮町・国府町の萱場地内の工場敷地は32,769坪の広大な土地で、南側は県道宇都宮街道、北側は東武宇都宮線とに挟まれ、北西部には東武野州平川駅が有り通勤には便利な場所です。
私の就職したのは宇都宮市内の工場でしたから、通勤時の電車の窓から良く三井三池製作所を眺めていました。線路際にタンクやパイプが複雑に入り組んだ、石油コンビナートなどで良く見かけるプラントの小規模な施設が設置されていました。
同社に就職したクラスメートの話でも、仕事の関係で出張する事が多い、現地で組み立て作業を行う為と、良く話していました。

(株)三井三池製作所が三井鉱山(株)より分離独立して設立されたのは、昭和34年(1959)でしたが、この頃国内の石炭産業は斜陽化により大量解雇が行われ、三池争議などの労働争議が起きていた時期であり、栃木工場にも九州から大勢の社員が移って来ていたと云います。
三井三池製作所栃木工場では、忘年会などの飲み会の時には、必ず「三池炭鉱節」を歌って盛り上がっていたと聞きました。故郷を懐かしんでいたのかも知れません。
「月が〜あ 出た出た、月が〜あ 出た。三池炭鉱の 上に〜い出た。あんまり 煙突〜が 高い〜いので。さ〜あぞや お月さん けむた〜あかろ。 サノヨイヨイ。」
そんな歌の歌詞に出てくる、煙突を私も一度見てみたいと、この大牟田の地を踏んだのでした。

長崎市を出て、諫早市を経由、有明海に沿って走り、回りこんで大牟田市に到着したのは、14時30分。
私はこれまでイメージだけで、三池炭鉱はもっと福岡県の北域に有るものと勝手に思っていました。それが実際は福岡県の南西端、熊本県との県境、有明海に面した土地で、三池炭鉱の一部、万田坑は熊本県荒尾市に成ります。
まず、JR鹿児島本線の大牟田駅前の観光案内所に寄って、観光パンフレットを貰いました。

最初に「三池炭山創業碑」を見る為駅近くの笹林公園へ。昭和5年(1930)に建てられた石碑の側面には、官営時代を中心に三井による経営が始まる以前の、三池炭山の歴史が刻されていました。
次に向かったのは、目的の煙突です。それは明治28年(1888)開坑の、三池炭鉱の主力坑の一つ、宮浦坑跡(宮浦石炭記念公園)に1本建っていました。
煉瓦積みの煙突の高さは31.2m、直径は上部が2.9m、下部が4.3m、使用されている耐火赤煉瓦約138,000枚と説明板に記されていました。
以前は、大浦坑、勝立坑、万田坑など明治時代の坑口には、いずれもこのような煉瓦の煙突が建てられていましたが、現在はこの1本だけが残されているのだそうです。
三池炭山創業碑.jpg宮浦石炭記念公園.jpg
(三池炭山創業碑)                (宮浦石炭記念公園に建つ煙突)

次に向かったのは「宮原坑」。明治31年(1898)の開坑です。さすが世界遺産に登録されているだけ有って、広い駐車場が整備されています。その先に我が国で現存する最古の鋼鉄製櫓という、明治34年築の「第二竪坑櫓」が聳え立っています。
宮原坑1.jpg
(宮原坑第二竪坑櫓と巻揚機室)
櫓の高さ:22.05m、鋼板リベット止めラチス組み。櫓上部に取り付けられた滑車(シーブ)に、巻揚機からの鋼索(ワイヤーロープ)を介して、竪坑内にケージを吊り下げ、支える役割を持っています。人馬昇降、排水、揚炭機能を担っていました。
宮原坑2.jpg宮原坑3.jpg
(巻揚機室)                     (排水管)

車を更に南に走らせ県境を越えて、熊本県荒尾市原万田へ。
「万田坑」は明治35年(1902)の開坑。宮原坑に続き開鑿された坑口で、当時炭鉱業界の模範となるような坑口施設を作るため三井が総力を挙げて建設したと説明されています。
明治時代に作られた炭鉱施設としては、わが国最大規模を誇っていました。
万田抗1.jpg
(万田坑)

現地に着いた時は既に最終入場時間を過ぎていた為、門の中に入場する事が出来ず、外観見学のみと成りました。

大牟田市まで来たついでに、市役所に立ち寄り、マンホールカードを貰ってきました。
大牟田市役所.jpg大牟田市マンホールカード.jpg
(国登録有形文化財指定の、大牟田市役所本庁舎旧館)  (大牟田市マンホールカード)

大牟田市のマンホールカードのデザインと成っているのは、大牟田市公式キャラクターの「ジャー坊」君です。昨年のゆるきゃらグランプリーに於いて、最後までトップ争いを行い残念ながら一位の座を逃しましたが、投票活動における組織票争い等で、全国的なニュースとなり、一躍有名になったキャラクターです。
背景に「三池炭鉱宮原坑」が描かれています。
訪れた日が1月4日(金)、丁度仕事始めで市役所が開いていたので、カードを入手出来ました。ラッキーでした。
尚、三池炭鉱の見どころはまだまだ有るので、機会が有ればまた訪問したいと思っています。
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