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白旗山勝泉院の梵鐘 [梵鐘]

栃木市湊町の天台宗の寺院、白旗山勝泉院は我家の菩提寺です。このブログ「巴波川日記」の最初の出だしは、「堂々巡り」と称して、都賀三十三薬師霊場や近隣の寺院仏閣をテーマに書き始めました。そしてその第一回目がここ「白旗山勝泉院」を取り上げました。それから早いもので5年以上経ってしまいました。
今回、久しぶりにこちら「白旗山」の梵鐘を取り上げてみたいと思います。
私が昭和43年(1968)に撮影した写真を、現在と比較してみると、本堂の佇まいは今も昔も変わっていません。
1968年撮影白旗山本堂1.jpg2020年6月撮影白旗山本堂1.jpg
(現在の本堂の写真と比較すると、以前は向拝部に鰐口が有りませんね)

鐘楼も昔のままです。
1968年撮影白旗山 1.jpg2020年6月撮影白旗山1.jpg
(山門・本堂の屋根・鐘楼そして白旗八幡宮の伽藍配置は変わっていません、唯手前の畑が駐車場に変わり、周囲に垣根がもうけられています。手前の松の木が大きくなってきて、鐘楼が隠れて来ています。)

実は今回梵鐘を調べて分かったのですが、この鐘楼は私が写真を撮った4年前の、昭和39年8月に梵鐘と合わせて新装なったばかりだったのです。
梵鐘に刻まれた銘によると、それ以前は太平洋戦争の際に梵鐘は供出されて無かったのでした。それを当院開祖慈覚大師の一千百年御遠忌を迎えるのに合わせ、当時のご住職の発願と檀信徒の皆さんの力添えで、鐘楼の新築と梵鐘の鋳造を成し遂げたと有ります。

梵鐘を見ていきます。近くに見る事が出来ませんので、カメラの望遠機能を利用して確認しました。
阿弥陀如来像.jpg南無阿弥陀佛.jpg
(手前に撞木、梵鐘中央に仏様の姿)(撞木の反対側、撞座上方に南無阿弥陀佛の文字)

撞木を受ける撞座の上方に、阿弥陀来迎図でしょうか、後光を背に仏様が浮き彫りされ、左右には紫雲がたなびき、天女でしょうか飛んでいます。又、その180度反対側の撞座上部に南無阿弥陀佛の文字が確認出来ます。
前回ブログに書いた「近龍寺の石造りの梵鐘」では、梵鐘周囲を縦横十字に分割をする「袈裟襷」や「乳の間」「乳」「縦帯」など、今回の梵鐘には有りません。ただ「乳の間」に相当する、梵鐘上部周囲四か所に、それぞれ縦横3列に「輪宝」9個を配したデザインになっています。

「南無阿弥陀佛」の文字の両側には、梵鐘銘が施されています。
梵鐘銘前半.jpg
(梵鐘銘の前半部分)
梵鐘銘後半.jpg
(梵鐘銘の後半部分)

手前の手摺りで隠れてしまう文字も有りましたが、見る位置を変えて何とか全体を確認することが出来ました。ただ一部、ハッキリとしない文字が有り、推量で判断しましたので、間違っているかも知れません。そこはご容赦願います。読み取った「梵鐘銘」を書き写しました。
梵鐘銘2.jpg梵鐘銘1.jpg

この梵鐘銘そして中央の「南無阿弥陀佛」の文字も、第251世天台座主大僧正周湛さんの揮毫になります。
そして、この梵鐘の制作者(鋳匠)は、香取正彦さんです。この人物は、日本の鋳金工芸作家で、昭和52年(1977)、梵鐘の分野で重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されています。
この、香取正彦さんが制作した梵鐘は、栃木市周辺では鹿沼市北半田の医王寺(昭和53年制作)や、佐野市金井上町の惣宗寺(通称、佐野厄よけ大師)の金銅大梵鐘(昭和59年制作)などが有ります。
医王寺の梵鐘.jpg佐野厄除け大師の梵鐘.jpg
(鹿沼市北半田、医王寺の梵鐘)    (佐野市金井上町、惣宗寺の金銅大梵鐘)

広島平和記念公園にある「平和の鐘」も香取正彦さんが昭和39年9月に制作したものです。実に白旗山の梵鐘と同じ年に制作されています。
今年の1月に私もこの「平和の鐘」を撞いて来ました。
広島平和の鐘1.jpg広島平和の鐘2.jpg
(広島市平和公園の「平和の鐘」鐘堂)(「平和の鐘」、鐘の表面に国境のない世界地図が)

白旗山の梵鐘の音色、まだ聞いた事が有りません。今度機会が有ったら是非聞いてみたいと思います。
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源 近江守

こんにちは。第1回の記事から拝見しております。
寺社仏閣はもちろん、普通に暮らしていると見逃してしまうような路傍の石碑や橋であってもしっかりと郷土を生きた人々の感情や文化を今に伝えている歴史があることに日々驚かされています。この巴波川日記を通してそのような小さいながらも無限に広がる歴史への魅力に気付かされました。
今後の更新を楽しみにしております。
by 源 近江守 (2020-06-17 18:17) 

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