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杣井木川排水機場周辺の風景 [栃木市の河川と橋]

杣井木(そまいき)川排水機場は、小山市大字中里の永野川が巴波川に合流する手前300メートルの地点で、永野川左岸から合流して来る杣井木川の落ち口に建設された、小山市大字押切や大字中里等の巴波川と永野川とに囲まれた地域の湛水防除施設です。
杣井木川排水機場全景.jpg
(永野川の左岸、写真中央の施設が杣井木川排水樋門、その左堤内に排水機場の建物)
2013年5月25日杣井木川流入部2.jpg杣井木川樋門銘板.jpg
(杣井木川樋門を永野川対岸より撮影)     (樋門の銘板、1991年12月設置の表示)
樋門の設置場所から下流側に80メートル程の、同じく左岸土手に新たに設置された排水装置だろうか、土手の堤内側から16本の鋼管が伸び、堤外側(永野川側)に管の開口部が並んでいます。これで堤内側の水を堤外へ排水するものと思われる。私がこれまで見た排水機場の中には、この様な装置は見たことが有りません。この杣井木川排水機場でも以前は見ていませんでした。
排水管(堤内側).jpg排水管(堤外側).jpg
(永野川左岸土手の堤内側に並ぶ16本の鋼管)(堤外側土手上部に管の開口端が並ぶ)

この施設は、永野川の水位が上昇して、永野川の水が杣井木川へ逆流して来るのを、水門を閉鎖して防ぎ、杣井木川から永野川への自然排出が出来なくなった水を、ポンプの力で強制的に永野川に排水するものです。そのカラクリは素人の私には良く理解できていませんが。
こうした排水機場は、思川や渡良瀬川などで、その支流の川からの落ち口に設置されています。
三杉川排水機場.jpg西前原排水機場.jpg
(三杉川排水機場)                   (西前原排水機場)
与良川第一第二排水機場.jpg塩沢排水機場.jpg
(与良川第一・第二排水機場)             (塩沢排水機場)

排水機場の仕組みについて、解説した掲示が塩沢排水機場に有りました。これを見て私も少しは排水機場について理解する事が出来ましたので、参考に解説図部分を抜粋して添付いたします。
排水機場の仕組み.jpg
(塩沢排水機場の平常時と洪水時の、排水の仕組み)

この杣井木川排水機場が設置されたのは、先に掲示した排水樋門の銘板に有る通り、1991年12月で今からたった28年前の事です。それより前の1982年1月に私がこの付近の風景を撮影した写真が有りました。現在の風景と比較してみると、だいぶ様子が変わっていることが見て取れます。
撮影ポイントを下に添付した「巴波川・永野川合流点周辺の河川及び道路の変遷図」の中に△印で表示しています。

1982年赤.jpg2019年赤.jpg
(撮影ポイント赤△印:現在の排水機場前の道路から西方向を写す。)
写真手前の橋は杣井木川に架かる橋で、川はこの橋の左方向で永野川に合流します。奥に写る橋は永野泡に架かるかつての「落合橋」です。この頃は、永野川左岸には土手らしい土手は有りませんでしたから、この地点からも「落合橋」を望むことが出来ました。
現在の写真では道路左側は、高い永野川左岸の土手が視界を妨げています。

1982年靑.jpg2019年靑.jpg
(撮影ポイント青△印:同上の撮影ポイントから振り返って南方向を写す。)
永野川が前方で大きく右にカーブしています。写真奥の所で左方向から流れてくる巴波川に合流する事に成ります。現在の写真は土手の上からほぼ同じ方向を撮影しています。

1982年緑.jpg2019年緑.jpg
(撮影ポイント緑△印:永野川に架かる「落合橋」の上流側左岸から橋を撮影)
写真に写る「落合橋」は新たに土手を作るために不都合だったのか、2000年9月に上流側に「新落合橋」が架橋され、元の場所には2004年3月現在の「落合橋(人道橋)」が架けられました。

1982年橙.jpg2019年橙.jpg
(撮影ポイント橙△印:巴波川に架かる「昇明橋」の上流左岸より永野川との合流点を写す)
写真右奥から真っ直ぐ流れてくる川が巴波川。左側より手前に流れてくる川が永野川。永野川左岸に土手は見られません。現在の写真は巴波川左岸土手の上から移していますが、前方は永野川の土手で続いています。

巴波・永野合流付近の河川・道路の変遷図.jpg
少し見難い図に成ってしまいましたが、1980年代の道路の様子を実線で描き、現在の道路土手河川等を破線で重ねて描いています。排水機場前の道路は土手が出来る前は、永野川近くを通っていましたが、築堤後は、堤内の土手脇に沿う形に変わっています。落合橋下流側の土手が出来上がったのは1994年頃に成ってです。上流側は更にその後整備されることに成ります。
土手が造られたことで、内水氾濫を防ぐためにこの「杣井木川排水機場」も作られたと考えます。

こうして栃木市並びに、小山市・佐野市など渡良瀬川水系に多くの排水機場が設置されましたが、昨今の気象状況の変化で、自然の猛威はそうした人間の行動をあざ笑う様に、破壊しています。
しかし、私たちも平穏な生活を得る為、更なる英知を出し合って、河川管理を強化していく事が必要になっています。今もこうした排水機場の活躍で、被害を小さく止めていることも、忘れてはならない事です。
縦軸斜流ポンプ.jpgポンプ銘板.jpg
(与良川第一排水機場内に設置されている「立軸斜流ポンプ」2基と銘板)
感謝の幟旗.jpg
(2015年9月の豪雨被害の翌年、小山市生井の桜堤に立てられた感謝の幟旗)

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