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栃木市立文学館を見学してきました。 [建物]

今年(2022年)の4月27日、栃木市に新しく文学館が開館しました。
「栃木市立文学館」には、どんなものが展示されているのでしょうか。当然「文学」に関する、そして又「栃木市」に関係する「文芸作品」や「文学者」がその対象に成ります。
栃木市といえば、まず「山本有三」でしょう。市内万町大通りには「山本有三ふるさと記念館」が有りますし、栃木市内には、太平山謙信平の文学碑をはじめ、栃木駅前や小学校の校庭などに、「たったひとりしかない自分を、たった一度しかない一生を、ほんとうに生かさなかったら、人間生まれてきたかいがないじゃないか」という、「路傍の石」の作品中の一節を記した文学碑が建てられています。
山本有三文学碑(太平山).jpg山本有三文学碑(栃木駅前).jpg

そしてその山本有三と共に栃木盆踊り唄に、必ず唄われる人物がいます。
<女人平家であの有名な、吉屋信子の学びしところ>  と。
「吉屋信子」は、父親の関係で子供の頃に、この栃木町に移ってきました。
吉屋信子が学んだ「栃木高等女学校」(現在の栃木県立栃木女子高等学校)の校庭には、
「秋灯 机の上の 幾山河」の俳句を記した文学碑が建てられています。
吉屋信子文学碑(栃女高).jpg

そして、もうひとりは、2011年3月11日に発生した「東日本大震災」のあと、一躍話題となった詩集「くじけないで」の作者、詩人「柴田トヨ」です。

栃木市立文学館の2階にはこの三人の人柄や作品、栃木市内のゆかりの場所などを記した、展示ブースが設けられています。

前口上が長くなりました。さっそく文学館内に入りましょう。
栃木市文学館南西側.jpg
上の写真は、文学館を南西方向から撮影したものです。手前に写っている堀は、かつて栃木県庁がこの地に建てられた際に、周囲にめぐらされたもので、今も「県庁堀」と称され県の史跡に指定されています。
文学館はこの「県庁掘」の南東の角部分に、大正10年(1921)に栃木町役場庁舎として建てられた建屋を、改修したものです。
栃木市文学館北側外観.jpg
栃木町役場庁舎の正面入り口は、北側に位置しています。入口部分には車寄せが設けられ、上部はバルコニーになっています。ただし現在はここからの出入りは出来ません。
入口前に建物についての説明文が掲示されていました。
文学館案内板.jpg

現在文学館の入口は、建物の西側を廻り込んだ裏手に有ります。
入口部分は、高齢者や体に障害を持った方など、階段によって2階に上れない人達にも見学する事が出来る様に、従来の建物の脇に付随させたエレベーター施設部分が新たなエントランスになっています。
文学館入口.jpg

自動ドアから中に入ります。
エントランス1.jpgエントランス2.jpg

時節柄、中に入ると先ず、手の消毒そして体温測定が待っています。
開放されたガラス越しに、従来の建屋部分を確認できます。元々の建屋の形状は鉤型を呈していて、今回その内側部分を利用してエレベーター施設部分を建てています。従来の状態を撮影した、改修直前の写真が有りますので参考に掲示します。
栃木市文学館南西側(改修前).jpg
この写真と最初に載せた文学館南西側からの写真を見比べると、増築部分がハッキリ確認できます。

先に進みます。体温測定器の先を見ると階段が有りますが、受付カウンターはその手前を、左に入ったところに有ります。
館内に入ると、写真撮影も色々制約が有りますので、注意が必要になります。
先ず動画やフラッシュやライトを付けての撮影は全面禁止です。又、2階フロア―は有料エリア―になっていて、撮影も一部例外箇所を除いて禁止になっています。1階部分も制約が有りますので、受付の職員さんに確認が必要です。(ここから掲示する写真は撮影の確認を取っています。)
私が見学に訪れた時は、1階受付の前に有る「郷土の先人紹介コーナー」では、日立製作所創業者「小平浪平」の展示が行われていましたが、ここは撮影禁止になっていました。

受付の横の広いスペースは、「とちぎサロン」として、休憩したり周囲の棚に所蔵されている書籍や資料を自由に閲覧する事が出来るエリア―が用意されています。
1階とちぎサロン.jpg
その先、北側回廊部分に面したカウンタには、当初の建設当時に有ったとする、ガラスを嵌めた格子、に受付の小窓が復元されています。
1階回廊部.jpg
以前、この建物が市役所別館として利用されていた当時、何度かこの北側入り口から入って、カウンター越しに、手続きをした記憶が有りますが、その時はカウンターの上部は解放されて、内側の市の職員さんと対話が出来ました。
大正時代は、町役場の職員さんと訪れる町民との間には、隔離するものが有ったのかもしれません。実際回廊部分の床の高さより、カウンターの内側の床の方が高くなっていました。現在は車いすでの見学に対応するためスロープが設けられています。
このような所にも時代の変化を感じるところが有ります。

「とちぎサロン」の東隣に「旧栃木町役場展示コーナー」が有ります。ここは面白いコーナーで見る所満載です。しかも撮影OKになっています。
建屋構造模型.jpg
まずこれ、「大兵工務店」さんが造った、「文学館の軸組模型 1/50」です。
軸組の中に白く塗られた部材が見られますが、これらは元から有ったものではなく、今回の改修に際して、建屋の耐震補強の為に追加された軸組と思われます。実際に先に掲載した回廊部分の写真の中に、白く塗られた柱が露出して立っていますが、これは本来有ったものでない、今回の改修で追加した柱であると、識別出来る様に、ワザと色を変えて施工されてます。(文化財建屋の改修時のルールなのかも知れません)

もう一つ興味のある展示物が有りました。
元栃木町役場庁舎模型.jpg
「栃木市役所別館(旧栃木町役場庁舎)模型」です。制作・寄贈された人は、坂入定雄さんと記されています。表示された名称からすると、以前建屋が市役所別館として使用されていた当時に寄贈された模型と思われます。
模型の内容を観察すると、今から24年ほど前、平成10年(1998)頃の状景模型と思われます。
1981年頃は、建屋の色はアイボリー系でした。塔屋にまだ時計は設置されていませんでした。模型は公衆電話がログハウス調になっています。県庁掘には噴水が見られ、白鳥の餌場も。「県庁堀」の案内掲示板も以前の形をしていますから、2000年頃でしょう。
でも本当に当時の姿を克明に表現されています。見ていても飽きません。良く作ってあります。
建物を立体的に360度、簡単に見て回ることが出来ます。

2階の展示室や多目的室を見学するには、観覧料一般220円(中学生以下は無料)が必要です。
展示室には冒頭に紹介した、栃木市ゆかりの三人のブースが有ります。
一度見てみると、又、三人の作品を読んでみたい気持ちが湧いてきます。
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