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栃木市万町、鬼瓦見て歩き [歩く]

今回は、旧栃木町の北側、万町界隈を巡り、屋根に据えられた鬼瓦を見て回ります。
万町は明治5年9月に町名改正以前は、「上町」と言われた地域で、町の中央を南北に日光例幣使街道が縦貫しており、街道の両側に短冊状に屋敷割された、宿場町の様相を今も残しています。
旧栃木町は江戸後期に4度の大火に見舞われ、多くの家屋が被災をした為、明治6年初代鍋島県令の時、≪今後町の体裁、火災等の事を考慮して、家屋を修繕新築等の際は必ず杉皮・藁葺等相ならず≫とのお達しが発せられてから、瓦屋根・土蔵造りの商家が軒を連ねる様になったと言われています。

その万町、旧栃木宿の北側の木戸が有った、現在の万町交番前交差点の南西側角に建つ、櫻井肥料店の鬼瓦から見てみたい。
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(万町交番前交差点の角に建つ櫻井肥料店)    (櫻井肥料店の鬼瓦)
櫻井肥料店の大通り側に面した店舗の屋根の鬼瓦も、裏手に続く土蔵の鬼瓦も上の写真に見る、「櫻」の漢字一字が付けられています。明治40年10月1日発行の「栃木県営業便覧」で櫻井肥料店を確認してみると、屋号紋として「カネジャクに漢字の井の文字を付けた紋が記されていますが、そちらは使われていません。

次に大通りの西側の裏手をほぼ平行に走る道路を、南に歩きレストラン「オールウェイズカマヤ」の裏手、道路の西側に面して石蔵が1棟建っています。この石蔵の鬼瓦を見ると、円の中に「足」の漢字をデザイン化した紋が確認出来ます。その紋をズームアップして見ると、周りの円を模っていた部分は、漢字の「利」の文字を丸くデザイン化した様に見る事が出来ます。以上から考えるとこの紋は「足利」をデザインしたものと思われます。以前この裏通りは無く、大通りに面した建物とは敷地が一緒でした。そして現在レストランと成っている建物は昭和9年に、「足利銀行栃木支店」として建てられたものですから、この石蔵も「足利銀行」のものだったと判断できます。
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(ALWAYSカマヤ裏手の石蔵の鬼瓦)    (拡大すると「足利」と見える)

大通りに戻って、栃木市役所の向かいに建つ「とちぎ歌麿館」に向かいます。重量感の有る古い見世蔵です。屋根の頂部、大棟部分から鬼瓦部分に、瓦が崩れ落ちないように保護ネットで覆って有りましたが、良く見ると鬼瓦には、漢字の「長」が付けられています。
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(現在は「とちぎ歌麿館」と成っている見世蔵)    (保護ネットで覆われた鬼瓦)
この鬼瓦についている「長」は何時のものか不明です。この見世蔵は現存する旧栃木町の中では、もっとも古い見世蔵と言われ、弘化2年(1845)8月に建てられています。前記の「栃木県営業便覧」には、「菓子製造業」と記されています。その後、大正期には「靴商・扇屋」に変わり、昭和60年の住宅地図には、「古久磯提灯店」と記されていて、鬼瓦の「長」に繋がりそうな発見は有りません。建物が建てられた当時がどうだったのか、遡る必要が有るかも知れません。
次の鬼瓦は近龍寺入口交差点の北西側角に建つ、元「阿部清八商店」の鬼瓦です。
「カネジャクに漢数字の二」の屋号紋が確認出来ます。「栃木県営業便覧」の中にも、「萬町常盤橋通」入口角に、「麻苧麻縄箒類畳表茣蓙荒物問屋」そして「阿部清八」と記され、その間に「カネジャクに漢数字の二」の屋号紋が認められました。
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(元の阿部清八商店の店舗)           (鬼瓦の「カネジャクに漢数字の二」の紋)

次の鬼瓦は大通りを少し南に下がった東側、「かな半旅館」の南隣りに建つ見世蔵の鬼瓦です。付いている屋号紋は、「ヤマガタに漢字の木」です。現在は「人形のやまとや」と成っていますが、この建物もこれまで多くの変遷が有りますが、この屋号紋につながる記事を発見できませんでした。
建物自体は幕末頃建てられたものと推定されているそうです。
この「ヤマガタに漢字の木」の屋号紋を使っている商店は、営業便覧を調べてみると市内に他に3軒確認する事が出来ました。
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(現在、「人形のやまとや」と成っている見世蔵)   (鬼瓦に「ヤマガタに漢字の木」の紋)

その他、万町内にはまだ多くの見世蔵や土蔵などが建っていますが、切妻・平入の建物が軒を連ねている為、鬼瓦を正面から確認が出来ません。確認出来た物を紹介します。
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興味のある方は、歩いて探してみて下さい。
最後の写真は、鬼瓦についている紋は「家紋」で、その前の「ハナブカ」に「ヤマガタに漢字の森」の屋号紋が付いています。
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