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栃木市吹上町の善応寺 [堂々巡り]

今回は、平安時代の昔より東国の歌枕として知られ、多くの歌人に詠まれてきている栃木市吹上町の、「伊吹山 善応寺」です。
所在は東北自動車道栃木インターを出ると、県道32号線(栃木粕尾線)に出るので、左折して粕尾方面に進みます。高速道の下を抜け、暫らく行くと吹上新道の信号が有りますので、その交差点を右折して、吹上の街を通り抜けると、赤津川と言う小河川に架かる「伊吹橋」が有ります。
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この橋の上から左手上流側、川の左側に木々の茂った小山が見えます。その小山の上に堂宇が見えます。ここが伊吹山善応寺の観音堂になります。
今は廃寺となってしまいましたが、現在も勝道上人が開山したと伝える観音堂が有ります。私が1977年11月に撮影した観音堂の写真が有ります。お堂の前に十五段の石段。階段の右側に「下野名所 伊吹山聖観世音」と彫られた石碑が一基建っています。現在は栃木市教育委員会が設置した「伊吹山のさしも草」の説明板も建てられ、石段はコンクリート製の階段に変わっています。
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(1977年11月撮影)                 (2014年7月撮影)
現在、この階段の右側には地元の人達が、歌に詠まれている「さしも草」とされる「七葉の艾(よもぎ)」を育てて町おこしを行っています。
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(青々と育った艾草の中にたたずむ道祖神)   (境内には石仏なども多い)
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観音堂は三間四面瓦葺で向拝の屋根の鬼瓦には「伊吹山」の文字が入っていました。東向きのお堂の前には「赤津川」が流れております。赤津川は昭和初期までは栃木市内の小平橋下で巴波川に合流する支流でしたが、雨期には度々栃木市街に浸水の被害を与えていたため、昭和23年度から昭和25年度にかけて、この観音堂から200m程下流の「新田橋」より分流して真直ぐ南に水路を作って、泉川地先にて永野川に放流する「赤津川分水路」が整備されました。この分水路は栃木県の土木遺産になっています。
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コメント 4

八島 守

「平安時代の昔より東国の歌枕として知られ、多くの歌人に詠まれてきている栃木市吹上町の、「伊吹山 善応寺」です。」につきまして

和歌に詠まれたのは「伊吹山(いぶきやまorいぶきのやま)」で、「いぶきさん」が詠まれたことは一度もありません。

しかるに「伊吹山 善応寺」は「いぶきさん(=お寺の山号) ぜんのうじ」で、決して「いぶきやま、・・・」ではありません。

この山が和歌に詠まれたことは、奈良時代の史料から江戸時代の史料まで調べましたが、全く有りませんでした。

by 八島 守 (2015-10-10 22:16) 

八島 守

巴波川の氾濫

私の家が床下浸水したのは昭和25年より一・二年後だったような気がするんですが、間違いだったでしょうか?
by 八島 守 (2018-04-28 10:31) 

八島 守

「七葉の艾(よもぎ)」を「さしも草」だと言ってるのは、栃木市民だけです。
全国的には「さしも草とはヨモギのことである」ってのが通説です。

この責任は、栃木市教育委員会にあります。
栃木市教育委員会が「七葉の艾(よもぎ)」を「さしも草」だとして市の天然記念物に指定しているからです。
この原因は[下野国誌]の読み違いにあます。

[下野国誌](1850年刊)
名所勝地
「 伊吹山 (イフキヤマ)  里
都賀郡吹上村にあり、栃木駅より西北の方にて今道一里余りあり。 其所に 善応寺と云ふ真言宗の古寺ありて、 山号 を則ち伊吹山と号するなり。また境内に観音堂たてり。 是は 古へ標茅原(しめぢがはら)にありしを、ここにうつしたる也とぞ。其あたり に 艾草 あまた生ず、葉の形、尋常より大きくて 葉さき七尖 なり。 尤も功能、他に異なるよしは、甲田貞丈が [徐嘯随筆] に記したり。・・・」

「艾草」とは「モグサグサ」と読み、モグサにする草「ヨモギ」を意味します。

 

by 八島 守 (2018-04-30 11:35) 

八島 守

[録事尊縁起](ろくじそんえんぎ、1838 年写)
*旧[粟野町誌]より

「中野智玄の娘の難病
粟野町下粕尾の瑠璃光山蓮照院常楽寺にある録事尊は、鎌倉時代の当町出身の名医といわ れる 中野智玄 を祀るものである という。
中野智玄は若いころ、宋に渡り医術をおさめた名医であったが、一人娘小春の奇 病だけはなおすことができなかった。
名医である父の手によってもなおすことのできない 病をいやすべく小春はあてのない旅をつづけ、ついに神仏のお告げにより、吹上村伊吹山 (イブキサンと読み善応寺のこと)の七つ葉のさしも草(原文では七ツ葉之差蓬草)を灸することにより九死に一生を得た。 ・・・」
by 八島 守 (2018-10-01 18:39) 

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