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野木町煉瓦窯を見て来ました [建物]

今日は午前中曇り空で涼しい陽気だったので、ウォーキンウを兼ねて野木町煉瓦窯を、見に行って来ました。
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(野木町煉瓦窯全景)
野木町の煉瓦窯の事は、2・3年前に渡良瀬遊水地と谷中村の歴史の説明を聞いている中で、その存在を知りそれから是非見てみたいと思っていましたが、修復中の為公開されておらず、これまで修復が終わるのをずっと待っていました。
そして今月10日、5年の歳月を掛けた修復が完了、公開される事になりました。最初は混雑すると考え、今日まで待って出かける事にしました。
栃木駅からJR両毛線と宇都宮線を乗り継いで、茨城県古河駅まで行き、煉瓦窯の有る下都賀郡野木町大字野木まで歩いて行きました。野木町煉瓦窯は住所こそ野木町ですが、距離的には古河駅からの方が近くなります。そこで古河駅から歩いて、煉瓦窯を見学し、そこから野木駅に来て帰るコースにしました。
実際は、古河の街中も少し見て歩いた為、距離的には長くなりましたが、目的地の煉瓦窯に到着した15時頃には、丁度青空が広がって来て、その青空を突く様に煉瓦窯の煙突がそびえる様子を見る事が出来ました。
隣接している「野木ホフマン館」内の受付にて、煉瓦窯見学料100円を支払い、ボランティアガイドさんの案内と説明を受けて、見学をしました。見学は窯の中にも入る為、ヘルメットを被って巡ります。
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(ボランティアガイドさんによる見学ツアー) (窯出入口。上部に窯番号の表示が見える)
野木町煉瓦窯(旧下野煉化製造会社煉瓦窯)は、昭和54年(1979)に国の重要文化財に、平成19年(2007)には、「近代化産業遺産群」の一つに選定されました。
ドイツ人フリードリヒ=ホフマンが19世紀半ばに開発し、特許を得た赤煉瓦焼成用の輪窯で、明治23年に造られています。外形は16角形、高さは34.4メートル、直径33メートル、周囲およそ100メートルです。
「ホフマン式円形輪窯」はこの野木町煉瓦窯の場合、円周上の煉瓦造りのトンネルを16区画の窯に区切って、その窯を順次循環移動しながら「窯詰め」・「予熱」・「焼成」・「冷却」・「窯出し」を繰り返しながら、連続的に赤煉瓦を焼く事によって、大量生産に対応する方式と言う説明がされました。
明治20年代、すでに日本国内においても蒸気機関車が営業を行っていたり、世界遺産にも指定された「富岡製糸場も操業を始めていましたが、まだまだ動力は普及していない時期で、この野木町の煉瓦窯も全て人力により操業されました。
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(窯の内部、天井に「投炭孔」が見える) (窯の境となる「リブ」や「煙道」の吸込み口)
窯出入口から頭をぶつけない様かがんで窯の中に入ります。窯の天井はアーチ状の曲面で中央部の高さは2.8メートル。壁面が少し出ている「リブ」から「リブ」までが1区画。天井には1区画25ヶ所の穴が有ります。窯の中に燃料となる粉炭を投入する穴です。窯の内周面左下隅に中央の煙突に通ずる「煙道」が設けられています。窯1区画内に「素地煉瓦」を燃焼した炎が通過出来る様間隔を空けて詰め込みます。その数は1400個から1700個。詰め込んだ後入口は煉瓦と泥によって塞がれます。15分間隔で上から粉炭を投入し、36時間かけて焼成すると説明が有りました。窯の内部は800度から1000度。
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(素地煉瓦のサンプルが窯内に積まれています)
南側に位置する窯は、直射日光を受け温度変化の大きい影響で、劣化が激しい為、窯の内部に鉄骨補強が施されていました。説明では今回の補修で震度6・7の地震に耐えられるようになったと有りました。
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(窯内部に組まれた補強材)    (最初点火を行う為の「焚き口(ロスオル)」も見える)
これまでの説明でもまだどのように燃焼させるのか疑問が残っていましたが、これに対しても説明が有りました。最初は窯の中に「焚き口(ロストル)」を設け、薪を使用して点火を行うのだそうです。焚き口は点火が終わると取り壊され、火が一周するとこの窯でも煉瓦を焼いて行くのだそうです。
東側の階段を使って二階へ上がります。二階の窯の上の部分には、粉炭を投入する為の「投炭孔」が円周上に400ヶ所設けられ金属製の蓋が載っています。窯の内側と外側には円周上にレールが敷かれています。
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(窯上の様子。「投炭孔」が円周上に並ぶ)    (粉炭を担ぎ上げる為の階段)
燃料の粉炭は外側2ヶ所に設けられた階段を利用して窯上部に運ばれます。「パイスケ」と呼ばれる皿状の籠に粉炭を入れ、天秤棒の前後にぶら下げて、人力で運び窯上の炭車に載せるのです。その運ぶ重さは60キログラム、1日に25回運んだと言います。窯上ではこの粉炭を載せた「炭車」をレールで移動させ、焼成窯に投入する訳です。
次に燃焼窯を前に進ませるカラクリですが、中央の煙突の周囲に、各窯からつながる煙道に設けられた「ダンパー」がその役目を果たしています。このダンパーは通常閉じられていますが、燃焼中の3窯先の煙道より煙突へ排気されるよう、ダンパー開けてやると燃焼した空気が窯の先に流れる様になり、焼成窯の次の窯は流れてくる燃焼空気により、乾燥・予熱をさせる事が出来ます。この様にダンパーの開閉で空気の流れを変え焼成炉を順次次々と変えられることになります。
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(煙突周囲に設けられた「ダンパー」と「開閉用機器」)(屋内部部分の煙突、八角形)
ボランティアガイドさんの細かい説明で、疑問に思っていた事が、何とか理解できるようになりました。
帰りに「野木ホフマン館」の中の「煉瓦窯展示室」中央に展示されている、立体断面模型を見ると更に先ほど聞いた説明の内容がより明確に理解されました。

今回参考にしたのは、受付に有ったパンフレットと、ガイドさんの説明内容です。
野木町煉瓦窯パンフレット.jpg野木ホフマン館パンフレット.jpg
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