巴波川浄化センターを見学してきました
先月21日(土)に、栃木市城内町にある「巴波川浄化センター」で開催された、「第29回巴波川流域下水道フェスティバル」に行ってきました。
ここ「巴波川浄化センター」は、「巴波川流域下水道」として栃木県に現在7か所ある「流域下水道」のひとつで、壬生町(南部地区)と栃木市の北東区域(旧栃木市・旧都賀町・旧西片町)の下水処理を担っています。
栃木市には、もう一か所藤岡町藤岡に、「大岩藤浄化センター」が有って、こちらは名前の通り「大平町」「岩舟町」「藤岡町」の栃木市南西区域の下水処理を行っています。
「巴波川浄化センター」を見学するのは、8年ぶりです。天気も良く大勢の見学者が訪れていました。
会場では、栃木市のゆるキャラ「とち介」くんと、全国下水道マスコットキャラクター「スイスイ」くん、そしてとちぎ建設技術センターのマスコットキャラクター「スイミー」ちゃんが、お出迎えしていました。
受付を済ませて、管理棟の展示コーナーで、下水道に関連したパネル展示や水質実験・微生物観察などを見て回りました。
<地球上の利用できる水はどのくらい?>のパネルで、水の惑星と言われる「地球」ですが、その97.5%が海水で、淡水はわずか2.5%で、その70%近くが氷が占め、地下水や河川水、湖沼水などは地球上の水の約0.8%。さらにその殆どは地下水として存在しており、比較的利用しやすい河川水や湖沼水は、地球上の水の僅か0.01%に過ぎないと説明されています。
<毎日、どのくらいの水を使っている?>のパネルで、4人家族の場合で、1日約1,000リットルの水を使っていて、その内訳がでています。我が家は現在2人暮らしですが、だからと言って半分の500リットルに収まりそうに有りません。
我家の「上下水道料金のお知らせ」令和5年9月請求分を見ると、今回の使用量が「61㎥」と成っています。この期間の日数は61日間ですから、丁度1日1,000リットルになり、パネルに出ている4人家族と同じ量を使っていることになります。
我家では、節水を考えて洗濯する時、前夜のお風呂の残り湯を使っていますが、それでも使い過ぎなのか。今年の夏は暑かったのに、意外と夕立や雨が少なかった精で、庭の植木などへの散水量が多くなったのかも知れません。
<下水道処理場では、どんな処理がされているの?>のパネルで、ここ巴波川浄化センターにて、家庭や工場からでた汚水などを、どのように処理を行い、きれいな水にして巴波川に戻しているか、説明されています。この後設備見学会に参加して見ていきます。
管理棟2階には、巴波川浄化センターの「中央監視室」が有り、職員の方が多くの計器類を見て、設備が正常に作動している事を監視している様子を見ることが出来ました。
尚、2階フロアーには「栃木県流域下水道」のマンホール蓋や、栃木市、壬生町のマンホール蓋の展示も有り、マンホールカードの配布もされていました。
見学者も全員渡されたヘルメットをかぶり、水処理施設の見学です。
・処理工程①「沈砂池」:流入下水に含まれている大きなごみや砂を除去する。
・処理工程②「最初沈殿池」:汚水をゆるやかに流し、比較的沈殿しやすい物質を沈殿分離させる。
・処理工程③「反応タンク」:汚水に活性汚泥を加え、空気を吹き込み接触させ、有機物を分解する。
・処理工程④「最終沈殿池」:沈殿しやすい活性汚泥を沈殿させ、処理された水と泥を分離する。
・処理工程⑤「「塩素混和池」:きれいになった上澄水には、まだ大腸菌などが含まれており消毒する。
・処理工程を経てきれいになった水は、巴波川に放流します。
今回見学出来た処理工程は、②から④の水処理施設部分です。
①最初沈殿池:処理池の長さ17.2m、幅7.4m、処理時間約2時間
②反応タンク(エアレーションタンク):処理池の長さ58.8m、幅7.8m、処理時間約8時間
③最終沈殿池:処理池の長さ43.0m、幅7.4m、処理時間約4時間
処理工程②から④の水処理施設は、一直線に連なったコンクリート製で、全長は約120mと長く、殆どが暗渠状態で、一部解放されたところで、処理中の汚水を確認できました。
水処理施設に流入した汚水は、全長約120mの処理池の中を、約14時間かけて、ゆっくりと流れ(平均流速は、1時間で約8.5m)、きれいな水となります。
現在、巴波川浄化センターの水処理施設は、上記の幅約8m、全長約120mの処理池が、7系列(計画は8系列)稼働しているようです。8年前に見学したときは、まだ4系列でした。
ここでもう一度、「なぜ汚水をきれいな水に出来るのか?」見直してみます。
今回の下水道フェスティバルの会場で、「下水道クイズ」が2問出されました。
<問題1>巴波川浄化センターは、何をするところですか。
答えは、「トイレなどで使用して汚れた水(下水)を、きれいにして川に流しているところ。」です。
<問題2>巴波川浄化センターでは、どのような方法で、水をきれいにしていますか。
答えは、「微生物と呼ばれる小さな生き物を利用して、きれいにしている。」です。
浄化センターに下水管を通って送られてきた汚水は、最初にごみや砂を沈殿させて除去して、次の反応タンクにて、微生物を含んだ活性汚泥を加え、空気を吹き込んで、ブクブクとエアー撹拌すると、活性汚泥の微生物が、下水の汚れを食べていきます。次の最終沈殿池にて、汚れを食べて大きくなった微生物が下に沈み、きれいな上澄み水を次に流していき、沈んだ活性汚泥は再び前の反応タンクに戻して、その微生物でまた汚れを食べてもらう。実際はもっと複雑なシステムになっているでしょうが、汚水をきれいにする仕組みは、微生物の力を利用している。と言う事です。
それでは、どのような微生物が活性汚泥の中にいるのでしょうか。会場ではその微生物を顕微鏡を通して観察できました。
活性汚泥中に見られる微生物の種類は、とても沢山いて代表的な繊毛虫類は、「ボルティケラ」・「ズータムニウム」「アスビディスカ」「リトノトス」「オキシトリカ」「ウロネマ」などなど。
その大きさは、30μm~100μmです。
そんな小さな微生物達が頑張って汚水中の有機物を食べて、水をきれいしている訳です。
そして今、浄化センターでは、汚水処理の工程で発生した「消化ガス」を活用した、「消化ガス発電」を行ったり、水処理施設の広い上空スペースを(屋根貸し事業)として、太陽光発電事業者に貸す等、再生可能エネルギー事業も行っている説明がされました。
浄化センター敷地内には、汚泥処理工程で発生した消化ガスを活用する設備が並んでいます。
水処理施設の上部に、太陽光パネルが整然と並んで設置されています。
私たちの生活に欠かせない、下水道事業の重要性を、少し理解することが出来た見学会でした。
今回の参考資料:
見学会にて配布された資料
・「巴波川流域下水道 巴波川浄化センター」(栃木県発行)リーフレット
・「栃木県流域下水道の再生可能エネルギー」(栃木県発行)リーフレット
・「栃木県の流域下水道」(公益財団法人とちぎ建設技術センター・栃木県下水道管理事務所発行)リーフレット
及び当日会場内に展示されていたパネルの内容を利用いたしました。
ここ「巴波川浄化センター」は、「巴波川流域下水道」として栃木県に現在7か所ある「流域下水道」のひとつで、壬生町(南部地区)と栃木市の北東区域(旧栃木市・旧都賀町・旧西片町)の下水処理を担っています。
栃木市には、もう一か所藤岡町藤岡に、「大岩藤浄化センター」が有って、こちらは名前の通り「大平町」「岩舟町」「藤岡町」の栃木市南西区域の下水処理を行っています。
「巴波川浄化センター」を見学するのは、8年ぶりです。天気も良く大勢の見学者が訪れていました。
会場では、栃木市のゆるキャラ「とち介」くんと、全国下水道マスコットキャラクター「スイスイ」くん、そしてとちぎ建設技術センターのマスコットキャラクター「スイミー」ちゃんが、お出迎えしていました。
受付を済ませて、管理棟の展示コーナーで、下水道に関連したパネル展示や水質実験・微生物観察などを見て回りました。
<地球上の利用できる水はどのくらい?>のパネルで、水の惑星と言われる「地球」ですが、その97.5%が海水で、淡水はわずか2.5%で、その70%近くが氷が占め、地下水や河川水、湖沼水などは地球上の水の約0.8%。さらにその殆どは地下水として存在しており、比較的利用しやすい河川水や湖沼水は、地球上の水の僅か0.01%に過ぎないと説明されています。
<毎日、どのくらいの水を使っている?>のパネルで、4人家族の場合で、1日約1,000リットルの水を使っていて、その内訳がでています。我が家は現在2人暮らしですが、だからと言って半分の500リットルに収まりそうに有りません。
我家の「上下水道料金のお知らせ」令和5年9月請求分を見ると、今回の使用量が「61㎥」と成っています。この期間の日数は61日間ですから、丁度1日1,000リットルになり、パネルに出ている4人家族と同じ量を使っていることになります。
我家では、節水を考えて洗濯する時、前夜のお風呂の残り湯を使っていますが、それでも使い過ぎなのか。今年の夏は暑かったのに、意外と夕立や雨が少なかった精で、庭の植木などへの散水量が多くなったのかも知れません。
<下水道処理場では、どんな処理がされているの?>のパネルで、ここ巴波川浄化センターにて、家庭や工場からでた汚水などを、どのように処理を行い、きれいな水にして巴波川に戻しているか、説明されています。この後設備見学会に参加して見ていきます。
管理棟2階には、巴波川浄化センターの「中央監視室」が有り、職員の方が多くの計器類を見て、設備が正常に作動している事を監視している様子を見ることが出来ました。
尚、2階フロアーには「栃木県流域下水道」のマンホール蓋や、栃木市、壬生町のマンホール蓋の展示も有り、マンホールカードの配布もされていました。
見学者も全員渡されたヘルメットをかぶり、水処理施設の見学です。
・処理工程①「沈砂池」:流入下水に含まれている大きなごみや砂を除去する。
・処理工程②「最初沈殿池」:汚水をゆるやかに流し、比較的沈殿しやすい物質を沈殿分離させる。
・処理工程③「反応タンク」:汚水に活性汚泥を加え、空気を吹き込み接触させ、有機物を分解する。
・処理工程④「最終沈殿池」:沈殿しやすい活性汚泥を沈殿させ、処理された水と泥を分離する。
・処理工程⑤「「塩素混和池」:きれいになった上澄水には、まだ大腸菌などが含まれており消毒する。
・処理工程を経てきれいになった水は、巴波川に放流します。
今回見学出来た処理工程は、②から④の水処理施設部分です。
①最初沈殿池:処理池の長さ17.2m、幅7.4m、処理時間約2時間
②反応タンク(エアレーションタンク):処理池の長さ58.8m、幅7.8m、処理時間約8時間
③最終沈殿池:処理池の長さ43.0m、幅7.4m、処理時間約4時間
処理工程②から④の水処理施設は、一直線に連なったコンクリート製で、全長は約120mと長く、殆どが暗渠状態で、一部解放されたところで、処理中の汚水を確認できました。
水処理施設に流入した汚水は、全長約120mの処理池の中を、約14時間かけて、ゆっくりと流れ(平均流速は、1時間で約8.5m)、きれいな水となります。
現在、巴波川浄化センターの水処理施設は、上記の幅約8m、全長約120mの処理池が、7系列(計画は8系列)稼働しているようです。8年前に見学したときは、まだ4系列でした。
ここでもう一度、「なぜ汚水をきれいな水に出来るのか?」見直してみます。
今回の下水道フェスティバルの会場で、「下水道クイズ」が2問出されました。
<問題1>巴波川浄化センターは、何をするところですか。
答えは、「トイレなどで使用して汚れた水(下水)を、きれいにして川に流しているところ。」です。
<問題2>巴波川浄化センターでは、どのような方法で、水をきれいにしていますか。
答えは、「微生物と呼ばれる小さな生き物を利用して、きれいにしている。」です。
浄化センターに下水管を通って送られてきた汚水は、最初にごみや砂を沈殿させて除去して、次の反応タンクにて、微生物を含んだ活性汚泥を加え、空気を吹き込んで、ブクブクとエアー撹拌すると、活性汚泥の微生物が、下水の汚れを食べていきます。次の最終沈殿池にて、汚れを食べて大きくなった微生物が下に沈み、きれいな上澄み水を次に流していき、沈んだ活性汚泥は再び前の反応タンクに戻して、その微生物でまた汚れを食べてもらう。実際はもっと複雑なシステムになっているでしょうが、汚水をきれいにする仕組みは、微生物の力を利用している。と言う事です。
それでは、どのような微生物が活性汚泥の中にいるのでしょうか。会場ではその微生物を顕微鏡を通して観察できました。
活性汚泥中に見られる微生物の種類は、とても沢山いて代表的な繊毛虫類は、「ボルティケラ」・「ズータムニウム」「アスビディスカ」「リトノトス」「オキシトリカ」「ウロネマ」などなど。
その大きさは、30μm~100μmです。
そんな小さな微生物達が頑張って汚水中の有機物を食べて、水をきれいしている訳です。
そして今、浄化センターでは、汚水処理の工程で発生した「消化ガス」を活用した、「消化ガス発電」を行ったり、水処理施設の広い上空スペースを(屋根貸し事業)として、太陽光発電事業者に貸す等、再生可能エネルギー事業も行っている説明がされました。
浄化センター敷地内には、汚泥処理工程で発生した消化ガスを活用する設備が並んでいます。
水処理施設の上部に、太陽光パネルが整然と並んで設置されています。
私たちの生活に欠かせない、下水道事業の重要性を、少し理解することが出来た見学会でした。
今回の参考資料:
見学会にて配布された資料
・「巴波川流域下水道 巴波川浄化センター」(栃木県発行)リーフレット
・「栃木県流域下水道の再生可能エネルギー」(栃木県発行)リーフレット
・「栃木県の流域下水道」(公益財団法人とちぎ建設技術センター・栃木県下水道管理事務所発行)リーフレット
及び当日会場内に展示されていたパネルの内容を利用いたしました。